明日という選択

インフォームド・コンセントの難点について

病状の説明と、治療方法の説明を患者さんにわかりやすく伝えることはとても難しいことです。医学は専門用語も多く、それをかみ砕いて説明しても、医療背景の知識がなければ、患者さんは想像することも難しく、なかなか、伝わらないということがあります。わかりやすく、例を挙げて考えてみましょう。たとえば、パスタを茄でるときのことを考えてみましょう。よく料理をする人や、料理が好きな人であれば、「まず、鍋に水を入れて沸騰させたら、パスタを袋から出して鍋に入れます。吹きこぼれないように注意しながら、数分茄でたら、ザルにあげます」と説明すればすぐに想像することができ、パスタを茄でることができるでしょう。しかし、料理をまったくしない人に同じように説明をしたとしたらどうでしょうか。上記の説明では、お湯の量やパスタの量などの説明はしていません。なので、次のような疑問がわいてくるのではなないでしょうか。「パスタの量はどのくらいなのだろうか」「吹きこぼれないようにするには、何に注意すればいいのか」という感じです。さらに、パスタを食べたこともない人や存在を知らない人にとっては、「パスタという物は袋から出すものなのか、それはどのようにして使うものなのか」「鍋の大きさはどれくらい必要で、水はどれくらいの量を沸騰させればよいのか」「ザルにあげるとはどういう意味なのだろうか」などと、全く想像ができず、全く伝わらないという可能性もあります。手術の説明でも、これと同じことが起こると考えられます。たとえば、大腸がんの手術をするという説明で考えてみましょう。大腸がんの手術について外科医同士の会話だと次のようになります。「ラパでシグマだったよ。 5ポートで、へそに小切開。郭清はIMA根部で切って吻合はファンクシヨナル。出血はゼロ」という会話です。外科医同士であれば、この立ち話で9割の手術内容を伝えることができます。では、外科同士ではなく、他のかの医者に伝えようとした場合はどのようになるでしょうか。同じ外科系の医者であれば手術用語等は通じるのでまだ短めで済むと思いますが、内科や皮膚科の医師に説明するとなるとかなり詳細に説明しなければ伝わりません。たとえば、「ポートを5個入れ、へそを4㎝くらい切って開き、腫瘍を取り出します。リンパ節郭清は下腸間膜動脈を根元で切り、そのあたりをすべて取り除きます。腸と腸の吻合は、機能的端々吻合という方法で機械を使用します。」という感じの説明になるでしょうか。しかし、これでも、あまり通じないでしょう。「ポート」も「郭清」も内科医や皮膚科医は普段使用しないので、まずは、言葉の意味が通じないと思います。

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