明日という選択

説明と相互理解

同じ医者に対してでもきちんと伝えることが難しいことを患者さんにお伝えするときはどうなるのでしょうか。「まず、人間のお腹の中には大腸という腸があります。」と絵を描いたりして説明します。それはこのようにお腹の中にあり、主に水分を吸収するはたらきなどをしています」と、初めに大腸の説明からします。そして、「あなたのご病気は大腸がんで、この絵のこの辺りに病気があります。これは大腸の壁のここまで食い込んでいるので、手術で取る必要があります。」と、大腸がんの場所、そして手術の必要性をお話しします。ここからさらに手術の具体的な説明をするのです。医者は、大腸がんの手術前の説明にとっている時間はだいたい1時間です。そのなかで、人体の構造から、術後の経過、生存率までお話しすることになります。外科医にとって1時間という説明時聞は平均的か、やや長いほうのようです。正直なところ、この時間ですべてを説明するには全然足りません。しかし、ほかにも業務はたくさんありますから、説明に使える時間はこれくらいが限界なのです。「インフォームド・コンセントに不満を持っている」という医者もいるのが事実なのですが、その不満の一つは、「ご説明に使う時聞が足りない」という点です。外科医は処置や手術により多忙で、なかなか患者さんに説明する十分な時聞がとれません。なので、なんとかして解決方がないかと考えました。早口でやるのはどうか。いや、それでは、ご高齢の患者さんは聞き取れないだろう。では、何人かまとめて、同じ手術の方は一緒にご説明するのはどうだろうか。それではプライバシーが保たれないし、個人情報保護の観点からも問題があります。